刺繍糸は、刺繍を行うための必須アイテムであり、選ぶ糸によって作品の印象が大きく変わります。刺繍糸は普通の糸とは違う点がいくつかあるので、糸の引き出し方や針への通し方を知っておきましょう。
当記事では、刺繍糸を選ぶ際のポイントや使い方、保管方法など刺繍糸を扱う際に知っておきたい知識を幅広く解説します。安心して刺繍を楽しめるよう、刺繍初心者の方はぜひ参考にしてください。
1. 刺繍糸とは?
刺繍糸は、名前の通り刺繍での使用を目的とした糸です。メーカーや素材、ツヤの有無、色、番手などの違いから、多くの種類があります。
刺繍糸を選ぶときは、色のみならず素材ごとの特徴やツヤの有無、強度にも注目しましょう。主な刺繍糸の素材は綿や絹、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロンなどです。素材によって光沢や強度が異なるので、日常使いするアイテムに刺繍するか、額縁に入れて飾っておくための作品を制作するのかなど、用途に合わせて刺繍糸を選びましょう。
2. 刺繍糸の使い方
刺繍糸は、布を縫い合わせるときに使う縫い糸とは異なる使い方をします。満足のいく作品に仕上げるためには、正しい方法を理解した上で刺繍糸を使うことが大切です。
ここでは、刺繍糸をどのように扱えば良いのか、基本的な使い方を解説します。
2-1. 刺繍糸の取り出し方
一般的に使う機会が多い25番の刺繍糸は、細い糸6本がより合わさっている状態です。刺繍をするときは、準備として糸束から必要な本数を取り出してから使います。
刺繍糸を取り出すときの手順は、下記の通りです。
1 | 糸束の内側にある糸端を見つける |
---|---|
2 | 糸端をゆっくりと引き出す |
3 | 50cm~80cm程度(使いやすい長さ)でカットする |
4 | 必要な本数の糸を引き抜く |
まずは、2本のラベルを中央に寄せて、糸束の内側に隠れている糸端(糸の先端部分)を探しましょう。糸束の外側にも糸端が出ているものの、内側に隠れている糸端から抜き出したほうが絡まずに取り出せます。
ラベルを付けた状態でゆっくりと糸端を引っ張り、刺繍糸を適度な長さまで出した後、6本合わせた状態のままカットして、必要な本数のみ引き抜いて使います。
1本1本が太い5番糸の場合、ループ状にまとめた「かせ」の状態で販売されているため、手順が異なります。ラベルを外して、ねじりをほどき、糸でくくっていないほうの輪の部分をハサミでカットして使います。
2-2. 2本取り・3本取りのやり方
刺繍糸の2本取り・3本取りとは、刺繍を行うときに使用する糸の本数のことです。刺繍は、作品や縫い方の種類に合わせて糸の本数を調節します。基本のクロスステッチも、糸の本数で作品の雰囲気は大きく変わります。
刺繍糸を複数本使う場合も、糸を取り出すときは、6本がより合わさった束から必ず1本ずつ引き抜きましょう。一度に複数の本数を引き抜くと、絡まるおそれがあります。
より合わさった束の中央部分から引き抜く1本を針に引っかけて、ゆっくりと抜き出します。糸が絡まらないよう、ゆっくりと引き抜くことがコツです。必要な本数を取り終わったら、端を揃えて針穴に通します。
2-3. 針に糸を通す方法
刺繍の専用針は、複数本の刺繍糸を通せるように穴が縦長になっています。スムーズに刺繍糸を針に通すコツは、最初に糸の先端部分を折ることです。
使う刺繍糸を揃えたら、針に当てて、糸の先端部分を少し折り曲げます。先端部分を折って針に糸を通す方法は、1本取りのときだけでなく、複数本で刺繍を行うときにも広く適用できるので、初心者の方は最初に覚えておきましょう。
コツを覚えれば、糸通しがなくても簡単に刺繍の準備を行えます。
3. 刺繍糸を使うときのポイント
刺繍を快適に行うためには、刺繍糸の基本的な扱い方を覚えておくことが大切です。刺繍糸を使うときのポイントはいくつかあります。
特に注意したいポイントを、2つ解説します。
3-1. ラベルは保管しておく
刺繍糸の残りが少なくなっても、ラベルは最後まで保管しておきましょう。ラベルは、使っている刺繍糸のメーカーや色、太さを知る大切な手がかりです。
刺繍糸は色味が似た商品も数多く販売されているため、同じ色を買い足そうとしても見た目では判断できない場合があります。ラベルを保管して、メーカーや色、太さなどはいつでも分かるようにしておきましょう。
刺繍糸のラベルは、基本的に糸束に付けた状態で保管します。保管時は、同じ色の系統ごとにグループ化して、ケースや透明のポリ袋に入れておく方法もおすすめです。
3-2. 何本取るかは刺したい図面によって選ぶ
どの太さの刺繍糸を使用するのか、何本取りにするのかは、刺したい図面を参考に判断します。刺繍の仕上がりには、糸の太さや本数も影響します。
たとえば精密な作品を制作するときは、細い刺繍糸や2本取りが最適です。ボリューム感を出したいときは、太い刺繍糸や3本取りを選ぶと立体感が出ます。糸の本数によって、刺繍の密度も異なります。
既成の図案をもとに制作するときは、指定されている刺繍糸の本数も参考にしましょう。糸の本数は、ステッチの後にかっこ書きで表記されています。「〇〇(2)で埋める」と指定されている場合、2本取りで刺すことを意味します。
4. 刺繍糸の種類
刺繍糸には、さまざまな種類があります。色や光沢感も異なるので、用途や好みに応じて使い分けましょう。
ここでは、刺繍糸を選ぶときの参考として、メーカーと糸の太さによる違いを解説します。
4-1. メーカーによる違い
刺繍糸には、有名なメーカーがいくつかあります。既成の図案を参考に刺繍するとき、具体的なメーカー名が指定されている場合は、指示に従うとイメージ通りのデザインに仕上がります。
各メーカーによる刺繍糸の違いは、それぞれ下記の通りです。
- DMC刺繍糸
手芸店で幅広く取り扱われているフランスの商品です。光沢があり、国内メーカーよりも太目の糸です。作業しやすい特長がある一方で、摩擦・洗濯による色移りや色落ちしやすい傾向もあります。 - OLYMPUS刺繍糸
明るく華やかな色の刺繍糸が多い、国内メーカーの商品です。発色が良く、ツヤがあるので、配色にこだわりたい作品に適しています。糸の表面に突っ張るような感覚があり、しっかりとした糸です。 - COSMO刺繍糸
同じく国内メーカーの刺繍糸で、淡く優しい印象の色味が魅力です。商品の取扱店が少ないものの、柔らかく手触りの良い糸は人気があります。四季にちなんだ色の商品も展開されています。 - アンカー刺繍糸
柔らかい発色とマットな色合いが特徴的なドイツの刺繍糸で、使い心地はしっかりしています。一般的な手芸店での取り扱いは少ないため、購入するときは刺繍の専門店など取扱商品の数が多い店舗で探しましょう。
般的な手芸店で見つかりにくい商品は、メーカーの公式サイトや各種SNSなどで取扱店舗が発信されている場合があります。
4-2. 糸の太さによる違い
刺繍糸の太さは、「番手」で表されます。番手の数字が大きいほど糸は細く、小さいほど太くなります。
刺繍糸の代表的な太さは、下記の3つです。
- 25番糸
刺繍糸として、もっともポピュラーな太さです。6本の細い糸がより合わさって糸束になっており、さまざまな色の商品が販売されています。繊細な作品はもちろん、複数本の糸を合わせてボリュームのある刺繍も制作できます。 - 12番糸
刺繍糸として中間にあたる太さです。こまかい部分の刺繍にも対応できます。25番糸と合わせてシャープな質感を出したり、5番糸と合わせてこまかい部分を補足したりと、使い方次第で作品の幅が広がります。 - 5番糸
もっとも太い刺繍糸です。2本の太い糸が強くより合わさった状態で、しっかりとしています。太い線を出したいときや、ボリュームを出したいときなど、25番糸と同じく頻繁に使うことの多い刺繍糸です。
刺繍糸は、番手ごとに糸束のほどき方や保管方法も異なります。それぞれに適した方法で糸を取り、残りは端が絡まないように注意して保管しましょう。
まとめ
刺繍糸は、作品の完成度を大きく左右する重要な要素です。仕上げたい作品の雰囲気に合わせて糸の素材や太さ、光沢感を選び、絡まらないよう丁寧に扱いましょう。刺繍糸の扱い方を知ることで、仕上がりが美しくなるだけでなく、作業効率も向上します。
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