子どものハンカチやお稽古バッグのワインポイントや、Tシャツのアレンジにキャラクター刺繍をしてみたいと考える方は少なくありません。しかし、手芸をしたことがない方や、絵心に自信のない方は、うまくできるか不安でなかなかチャレンジできないのではないでしょうか。
この記事では、キャラクター刺繍を始めるにあたって必要な道具や、基本的な手順を踏まえ、刺繍で生かせるテクニックや、キレイにキャラクターを刺繍するコツを紹介します。
1.キャラクター刺繍のやり方
キャラクター刺繍に使う道具は、ほとんど100円ショップや手芸店で簡単に手に入ります。まずは必要な道具や材料を揃え、刺繍のやり方を把握しましょう。ここでは、基本的な道具と、刺繍の手順を解説します。
1-1.必要な道具
ここでは、刺繍に必要な道具8つを紹介します。
刺繍針 | 刺繍糸の本数によって針の太さを替えると刺しやすいです。 |
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刺繍糸 | 発色、量、値段など刺繍に合わせて選びます。 |
糸切りハサミ | 一般的な糸切りハサミです。先端が細い刺繍用のハサミもあります。 |
布 | 薄手で伸びない布や、手芸材料の木綿やフェルト生地などがおすすめです。 |
刺繍枠 | 初心者の方には、直径10cm程のサイズの木製の枠がおすすめです。 |
図案 | オリジナルデザインを考えたり、刺繍キャラクター本やネット検索でデザイン探したりしましょう。 |
手芸用複写紙 | 図案を布に写す複写紙で、キャラクター刺繍図案を布に書き記す際に使います。 |
トレーサー | 図案をなぞる際に使う道具で、布の上を滑らかになぞれます。キャラクターの曲線をなぞる際にも使いやすいでしょう。 |
チャコペンシル | 複写紙で漏れた部分を書き足す際に使います。水性のペンシルがおすすめです。 |
刺繍は「針」「糸」「ハサミ」があれば、簡単に始められます。また、市販で販売している「刺しゅうキット」を試してみるのもおすすめです。
場合によっては、他にも必要な道具や便利な道具がいくつかあります。半透明の紙の「トレーシングペーパー」や、トレーサーの滑りをよくする「セロファン」などです。「セロファン」には、トレーシングペーパーが破れるのを防ぐ役割もあります。また、布を切る際には「裁ちハサミ」があると、滑らかに布が切れます。まずは最低限の道具を揃えて、必要性に合わせて他のアイテムを購入しましょう。
1-2.刺繍の手順
次に刺繍の手順について、簡単に説明します。
1 | 図案を布に写す |
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2 | 刺繍枠に布を張る |
3 | 刺繍糸の準備 |
4 | 図案に沿って刺繍する |
図案を写す際は、布の上に図案を重ねてまち針やマスキングテープで固定すると失敗を避けられます。固定後は、布と図案の間に手芸用複写紙を挟み、トレーサーで図案をなぞって布に写します。刺繍枠に布を張る際は、枠全体にしっかり張って、仕上がり後のシワを防ぎます。
刺繍糸の準備では、糸を短く切りすぎないのがポイントです。糸は50cm程の長さに切って、針に通します。刺繍糸は、糸を重ねた太い糸を使うことが一般的で、太さはキャラクターのデザインによって変わりますが、2〜3本の糸を重ねて使うことが多い傾向です。
2.キャラクター刺繍のテクニック
キャラクター刺繍をする際、さまざまなステッチを取り入れることで、幅広い表現ができます。デザインに合わせたステッチを組み合わせることで、イメージに近づけられ、キャラクター刺繍の仕上がりにも差がつきます。初心者の方は簡単なステッチから挑戦してみましょう。
キャラクター刺繍をする際は、キャラクターの輪郭を目立たせる線状のステッチや、面積に色を塗るようなステッチなどを使い分けるテクニックがあります。いくつかのステッチのやり方を知り、作りたい刺繍の参考にしてみてください。ここからは、各ステッチについて解説します。
2-1.ランニングステッチ
一般的な縫い物の「なみ縫い」とも呼ばれる基本的なステッチで、線を点でなぞるような直線的な描画に向いています。線の長さを均一にすると、きれいに仕上がります。ジャンル問わず始めやすいでしょう。
2-2.バックステッチ
刺繍でよく使われるステッチです。ランニングステッチは「点線」ですが、バックステッチは「実線」です。イラストの輪郭を作ったり、イニシャルなどの文字刺繍を縫ったりする際に使います。縫い物も「返し縫い」のように取り組みやすく、初級向けのステッチと言えるでしょう。
2-3.アウトラインステッチ
線を縫う際の基本的なステッチです。曲線を縫うのに向いており、輪郭やイニシャルなど滑らかな曲線を表現できます。立体的なロープのような縫い目が特徴で、面積を埋める際にも使えるでしょう。仕上がりがきれいなアウトラインステッチは、さまざまな図案の中でも幅広く使われるステッチです。小物のアップリケやワッペン作りにも向いています。
2-4.サテンステッチ
隙間を作らずに、ステッチを並べるように縫い、狭い面積を細かく塗るようなイメージのステッチです。広い面積には不向きですが、艶やかに仕上げたい緻密なデザインに向いています。
糸を引きすぎたり、ねじれたりしないように縫うのがポイントで、糸のゆるさにも注意しましょう。サテンステッチができると、中級者向けのデザインにも挑戦しやすいです。
2-5.ロングアンドショートステッチ
隣の糸と縫い目をずらしたり、糸の長さをバラバラにしたりして縫うステッチです。長短の針目を繰り返すのがポイントとなります。サテンステッチと比べて広範囲を塗るデザインに向いています。
独特の立体感があり、色のグラデーションを表現する際にもおすすめです。ミニクッション・ウェルカムボード・プレゼントギフトなどにオリジナル刺繍をする際に使いやすいでしょう。インテリアとして飾るアイテムにも映えます。
2-6.ストレートステッチ
長さや場所がランダムな直線をいくつも重ねながら、面を埋めるステッチです。自然な仕上がりになるので、デザインに合わせて挑戦してみてください。手づくりキットなどの販売商品もあるので、子どもの自由研究などにもおすすめです。
3.きれいにキャラクター刺繍をするコツ
準備する道具ややり方が分かっていても、刺繍の初心者の方にとっては、慣れるまでは難しいと感じる場合もあるでしょう。ここでは、キャラクター刺繍のコツとして以下の4点を紹介します。
・基本の準備をきちんとする
きれいに刺繍を仕上げるには、基本の準備が重要です。必要な道具や材料を揃えたら、やり方に沿って正しく使いましょう。特に欠かせないのが、図案をきれいに写す作業です。図案を曖昧に写すと、仕上がりに影響します。図案の線の太さや位置なども正確に写し、消えた線は再度書き足します。また、糸を付ける際や縫う際には、糸がねじれていないか注意しながら進めるのも大切です。糸がねじれたまま続けると、艶やかな仕上がりになりにくく、仕上がり方が変わります。
・正しく糸端の処理をする
糸端の処理は、見た目に差がつくコツの1つです。糸を縫う際に玉結びや玉止めをする場合が多いですが、刺繍では正しい糸端の処理のやり方があります。ステッチによって異なりますが、刺繍を始める前に「線刺し」と「面刺し」の2つ処理のやり方を知っておくと便利です。
・図案の線を基準にする
基本の準備の中でも触れましたが、図案の線はとても大切です。図案を正確に書き写したら、線が消えないように気をつけます。線の幅を意識し、太い線の場合には、内側よりも外側を基準として縫うときれいな仕上がりになります。
・縫い目の向きを意識する
刺繍では、縫い目の向きは大事なポイントです。糸の向きや縫い方を意識することで、立体感が出たり、デザインの雰囲気を出したりすることができます。例えば葉っぱの場合は、葉脈を意識して縫うとリアルな表現が可能です。また、人の髪の毛や動物の毛並みの流れに合わせて縫うと、より自然な仕上がりになります。縫い目の向きは、さまざまな刺繍に応用して使えるコツです。さらに、縫い目の向きをうまく仕上げるには、事前に図案に糸の流れを書いておくのもポイントです。
まずは、基本の準備を丁寧に進めることで、安心して刺繍を進めることができます。枠に布をしっかり張り、糸の質が合わない場合は変えるなど、最初の段階で意識しておくとよいでしょう。また、左右対照の図案の場合には、中心から左右に向けて縫うとバランスが取りやすくなります。
まとめ
キャラクター刺繍は、刺繍針・刺繍糸・ハサミ・布・刺繍枠などの手軽に手に入る道具があれば始められます。図案の転写や糸の準備など基本的な準備をしっかりと行うことで失敗を避けられます。
キャラクター刺繍を行う際は、輪郭を描くステッチと、面を塗りつぶすステッチを使い分けることで、表現のクオリティを上げられます。最初は簡単なステッチから挑戦し、他のテクニックも覚えるとよいでしょう。
なお、難しいデザインを失敗せずに縫い付けたいという場合は、Tシャツメーカーに依頼するのも一つの手です。デザイン刺繍に特化したマシンを導入している業者もあるため、ぜひ検討してみてください。